時給が高い上に短期で働けて、経験が問われないことから人気のある引っ越しバイト。しかし、力仕事が多いイメージから、「重い荷物を持ち運んで腰を痛めそう」、「上司や先輩が厳しそう」などネガティブなイメージを持っている人もいるのではないでしょうか。この記事では、そんなイメージは本当なのか、引っ越しバイトの実情を紹介していきます。仕事内容や時給はどのくらいなのか、どんなメリットデメリットがあるのか、経験者の口コミと合わせて詳しく見ていきましょう。
引っ越しバイトとは?
個人宅や企業オフィスの引っ越し作業を行う、運送会社のスタッフとして働くのが引っ越しバイトです。はっきりいうと、引っ越しバイトはイメージ通り肉体労働になります。
特に、エレベーターのないマンションやビルの引っ越し、荷物の積み替え作業などは体に相当な負担がかかるでしょう。
力仕事であることから、「男性だけの仕事」というイメージが強いかもしれませんが、養生作業や食器類の梱包など、近年は細かい作業を女性に任せる会社も増えてきています。
現場の責任者が男性でアルバイトのメンバーは全員女性、男女の割合が半々で構成されているといった現場もあるようです。
引っ越しバイトの仕事内容
先ほども少し触れましたが、引っ越しバイトは、大きく「運搬」と「梱包」の2つに分けられます。
運搬は、お客様の家具や家電などの大きな荷物を運ぶ仕事です。こちらの作業は男性が行うことが多く、何人かのチームで協力して運ぶこともあります。
梱包は、荷物を段ボールなどに梱包したり、壁や床を傷つけないように保護シートを貼ったりする仕事です。こちらの作業は女性に任せられていることも多くなっています。
これらの作業を社員の指示に従って行うのが引越しバイトの仕事です。
引っ越しバイトの流れ
次に、引っ越しバイトの仕事の流れを見ていきましょう。
1.引っ越し前のお宅(オフィス)へ移動
規模によって人数は異なりますが、大体5~6人でチームを組んで、引っ越し前のお宅にトラックで伺います。ここでの主な作業はトラックへの荷物の運び入れです。
荷造りなどは事前に準備されていることがほとんどなため、すぐに荷物をトラックへと運んで、トラックで移動します。
2.引っ越し先へ移動し養生作業
荷物を全て運び終えたら、新居へと移動していきます。しかし、着いたらすぐに荷物を運ぶわけではありません。新しいお宅に傷をつけないように、壁や床、ドアなどに保護シートを貼る養生作業を行います。
3.搬出作業
養生作業が終わったら、いよいよトラックに積んだ荷物を運びます。ただ単に運ぶわけではなく、家主の指示に従って電化製品や家具を配置していかなければいけません。
バケツリレー方式で、2人1組となってトラックから搬出作業を行います。この際、冷蔵庫などの寝かせることができない大型家電は、特に慎重に取り扱いましょう。
4.開封作業
ダンボールに詰められたものは全て箱から出して、緩衝材で覆われた家電・家具は緩衝材を取り外していきます。この段階で、壁や床などに貼った保護シートも剥がしていきます。これで引っ越し作業自体は終了です。
5.次の引っ越し先へ移動or業務終了の報告
引っ越し作業は1日1件とは限りません。特に引っ越しシーズンは1日に何件も回ることになります。次の引っ越し業務が入っている場合は、すぐさま次のお宅に移動して同じ作業を繰り返し行っていきます。
次の引っ越し先がなければ事務所に戻って報告を行い、業務終了です。
引っ越しバイトの時給と勤務時間
引っ越しバイトの仕事内容や流れについて理解したところで、次に時給や勤務時間、服装などの基本的な情報を見ていきましょう。
時給
地域にもよりますが、引越しバイトの平均時給は1,100〜1,200円ほどです。力仕事で大変な作業が多いため、比較的高めに設定されています。残業がある場合は残業手当もつくので、日当が10,000円以上になることも珍しくありません。3〜4月や9〜10月などの繁忙期は、人を集めるためにさらに高い時給でバイトが募集されている傾向です。稼ぎたい人は繁忙期に応募してみると良いでしょう。
勤務時間
バイト先にもよりますが、基本的に引っ越しバイトの勤務時間は8時間です。繁忙期などで残業があると、10時間ほど働くこともあるとされています。引っ越しバイトは勤務先によって、事務所に集合してからチームで現地に向かう場合と現地集合の場合があります。
現地集合の会社を選んでしまうと、毎回現場に向かうまでに時間が異なるため、場合によってはバイトの往復で2時間以上かかってしまうケースもあるのです。その場合は交通費が支給されない会社もあるので、時間と経費を節約するためには事務所集合の会社を選ぶと良いでしょう。
服装
引っ越しバイトでは一般的に、社員・アルバイト関係なく制服が支給されます。会社によっては帽子や靴も支給されるようです。また、靴は支給されない場合でも、「白の清潔な靴」などの指定をされる可能性もあります。その場合は、自分で用意する必要があるでしょう。
ネイルやアクセサリーはお客様の荷物を傷つけてしまう可能性があることなどから、禁止されています。
引っ越しバイトのメリット・デメリット
次に、引越しアルバイトのメリットデメリットについて見ていきましょう。
引っ越しバイトのメリット
引っ越しバイトは作業がキツい分、時給が高めに設定されているというのが最大のメリットではないでしょうか。
さらに、送迎サービスを実施している会社で働けば、最寄り駅まで迎えに来てくれることもあり、交通費を気にせず効率良く働くことが可能です。トラックで引っ越し先に移動しているときも時給は発生しますし、場合によっては休憩中も勤務時間に含まれます。
さらに、そういった給与面での優遇があるだけでなく、臨時収入があるのも魅力的です。引っ越しを依頼するお客様の中には、「ご祝儀」として数千円のお小遣いを手渡してくれる方もいます。
また、短期の仕事が多く、シフトの融通が利きやすいのも特徴です。
1回働いて「現場が合わない」「体の負担が大きい」と思えば、次回から応募をしなければ問題はありません。最初は、仕事の雰囲気を知るためにも1日だけの短期バイトに応募してみると良いでしょう。
引っ越しバイトのデメリット
今までに解説した通り、引越しアルバイトはかなりの体力勝負になるという点がデメリットといえます。バイトをしながら鍛えたいという人には良いかもしれませんが、体力などに自信がない方にはあまりおすすめできません。
特に腰にかかる負担は大きく、長期間続けていれば慢性的な腰痛に悩まされたり、慣れないうちは荷物の持ち方の「コツ」が分からずにギックリ腰になってしまったりする可能性もあります。
そして、人間関係に悩まされる人も多い傾向です。
引っ越しバイトは単独で作業することがほとんどなく、基本的にはチームで行動します。しかも毎回メンバーが変わるため、初対面の人と作業を行う確率が高いです。
引っ越し業界には「体育会系」の会社が多く、上下関係が厳しいので、雰囲気に馴染めないという人も珍しくありません。中には言葉遣いが乱暴な人もいるため、そういった空気に慣れていない人は辛い思いをしてしまうことがあるのです。
また、毎回時間との戦いになる現場は緊張感がありますし、お客様の立会いがあるのでテキパキと作業をこなさなければ、上司からもお客様からもお叱りを受ける可能性があります。
引っ越しバイトの口コミ
ここからは、実際に引っ越しのアルバイトをしたことがある方の口コミや体験談を紹介します。良い口コミと悪い口コミの両方を紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。
良い口コミ
30代男性
仕事内容は簡単です。初心者の場合は養生作業を任されることもありませんから、ひたすら荷物を運んでいればいつの間にか終わるって感じです。
複雑な作業が苦手、体を動かすのが得意だと考えている人にはすごく向いているんじゃないかな。
働いていれば体が締まってくるし、冗談ではなく本気でダイエットや、筋トレになりますよ。
実は僕もそれが狙いで引っ越しバイトをやっていました。
これを話すとちょっとおかしい…と言われることもありますが、重そうな荷物を見るとテンションが上がるんです。
同僚の中にも同じような人はいて、お金払ってジム行くよりも、お金をもらって筋トレできる引っ越しは最高のバイトと言っていました。
ジョギングやウォーキングは義務がないので、全く続きませんでしたが、引っ越しはお金が貰えますから、たるんだ体を引き締めたい!と思っている人におすすめです。
20代男性
正直、かなりキツいですよ。エレベーターのないマンションとかに当たると、マジで逃げ出したくなります。さすがに逃げたことはないですけどね(笑)。
でも、現場に行くのが毎回楽しみではあるんです。その大きな理由は「ご祝儀」
引っ越しのお客さん全員がくれるわけじゃないけど、三分の一の確率でもらえますね。だいたいは1,000円ぐらいなんですけど、最高額は5,000円!
とにかく体がボロボロになっても稼ぎたい!と考える人は3月に働くことをおすすめします。給与+ご祝儀で稼げますよ。
ただ、毎回期待しないことですね。もらえたらラッキーぐらいの気持ちでいれば、もらえなかった時にへこまなくて済みますんで(笑)。
昼食代もほとんどかからなかったな。ご祝儀くれなくても、おにぎりとかお茶を出してくれるお客さんがほとんどですから。
汗だくで仕事をしていると、「ちょっと休んでいってください」とか声をかけてくれる人もいて。そんなお客さんには班長も逆らえませんから休憩時間が長くなります!
20代男性
引っ越し=めちゃめちゃキツいというイメージが先行しがちですが、実は楽な現場もあるんです。
それが遠方の現場に入った時。この場合、自分の自宅から遠い場所という意味ではなくて、引っ越し会社から遠い場所っていう意味です。
移動時間が長いと、必然的に待機時間が長くなる。しかも引っ越しは最低でも5人以上か、8人ぐらいで行いますから、現場に着いたらあっという間に仕事が終わっちゃって、業務終了なんてケースも結構あります。
一番楽だったのは、8時間勤務で実働2時間で終わったことですかね。
まず現場の遠い場所に行かされて、移動時間のほとんどは寝てました。着いてから作業したのは1時間ちょっとだと思います。
会社に戻ってから細かいダンボール回収に行ったんですけど、場所と点々とするんでこの時も作業はほとんどありませんでした。
悪い口コミ
30代男性
重い荷物を運ぶのはいいんです。どうしても我慢できなかったのは汚部屋。
お客さんは引っ越しの準備をしてくれる人がほとんどの中、やらない人の場合は部屋の整理からやらなくちゃいけない。
自分の仕事が引っ越しなのか、清掃員なのか分からなくなります。
意外に多いのが女性なんですよね…。洋服が山ほど埋もれていたり、ペットを飼っていると輪をかけて最悪な状況になります。
そんな時はマスクをして、ゴミ袋を持って突入です。普段よりも時間がかかるし、ズボラな人だからチップをくれることもなければ、気をつかってくれることもない。
当日現場に行くまではどんな引っ越し先なのかわかりませんから、こればっかりは運でしかないですよね。
いろいろな引っ越し現場があることを、あらかじめ頭に入れておいたほうがいいです。
20代男性
「背負子」があるかどうかですべてが決まると言っても過言じゃありません。
引っ越しバイトはチームを組んで行うのですが、すべて同じ業者から派遣されるわけではなく、大手と下請けの組み合わせで行うことも多々あります。
当然ですが、大手の方が立場が強く下請けは立場が弱い。私は下請けの方で働いていたので、すごく横柄な態度で大手の人は接してきました。
5階建てのマンションで引っ越し作業を行った時なんですが、大型家電を運ぶ人は優先的にエレベーターを使い、ダンボールを運ぶ人は階段とルールが決まっていました。
所々に段差がありますし、エレベーターを使うことができても大型家電を運ぶ場合は「背負子」と呼ばれる道具を使います。
袋で荷物を包み、重さを分散させる道具なんですが、これがないと2人でも冷蔵庫を運ぶのはキツいんです。
別に誰かが使ってて、こっちに回ってこないなら仕方ないんですけど、誰も使ってないのに回してこない大手の人たちのやり方に腹が立ちました。
勤務報告書に評価を記載するのは、大手の人たちなんで文句も言えない。それをわかってて意味不明な嫌がらせをしてくるんです。
子供っぽくて幼稚な人たちの集まりだなと思いました。
20代男性
ありえない地獄のようなバイトです。
現場は非常に厳しく、社員の人はちょっとでももたつくと怒鳴ってきます。お客さんが目の前にいようが関係ありません。
その人は引っ越し会社でも有名らしく、「新人いびり」なんて呼ばれています。パワハラが叫ばれている時代によくやるなと思いました。
1日で最高4件も引っ越し作業をしたこともあり、その翌日は冗談抜きで動けなくなりました。
1件、狭い階段のマンションの1室に「研究室」が入っていて(病院の検査を代行する業者らしいです)これはさすがにギブでした。
大型の機械がアホみたいに並んでいる上に、すべて精密機械だからカスリ傷もつけちゃいけない。そんな不可能に近い仕事を依頼されました。
階段は狭いので、どうしたって機械が少し当たるんです。
社員にネチネチいびられ、仕事を放棄して帰ろうかなと思ったほどでした。
引っ越しバイトはどういう人におすすめ?
最後に、引っ越しバイトがどのような人におすすめなのかを解説していきます。引っ越しバイトを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
とにかくお金を稼ぎたい人
高時給のためなら肉体労働も惜しまないというような、とにかくお金を稼ぎたい人に向いています。1日でかなり稼げますし、繁忙期ならさらに高収入が期待できるでしょう。しかし、普段あまり運動をしない人などは、体を痛めてしまう可能性があるため、注意しながら行うようにしてください。
体育会系の雰囲気に抵抗はない人
引っ越し業者には体育会系の人が多い上に、引っ越し作業は時間との勝負です。現場が厳しくなるのは必然といえるでしょう。
行動にメリハリが要求され、ダラダラと作業をしていると即注意を受けます。いつでも素早い行動を心がけ、安全のためにも声出しなどを徹底しましょう。
そういった体育会系の雰囲気に慣れている人は、ぜひ挑戦してみてください。
身だしなみ・受け答えがしっかりしている人
引っ越しバイトはお客様と接する機会が多い職種です。身だしなみはもちろん、清潔感、言葉遣いには十分に注意しなければいけません。
お客様から直接指示されることもありますから、その際にきちんと受け答えができなければ会社全体のイメージを損なうことになります。
また、チームで行動する仕事でもあるため、上司や先輩とのコミュニケーションも重要です。引っ越しバイトをする際には、身だしなみや受け答えに気を付けながら働くようにしてください。
まとめ
引っ越しのアルバイトは、個人宅や企業オフィスの引っ越し作業を行う、運送会社のスタッフとして働きます。重い荷物を運ぶというイメージから男性向けのバイトと思われがちですが、近年では女性も増えているようです。
時給が高く、短期バイトなら時間の融通が利きやすいなどの理由から人気のバイトとなっています。一方で、体力勝負で体が辛い、体育会系の雰囲気に馴染めないといった人もいるので、そういった点を考慮した上で働くようにしましょう。